妄想老人日記

連載第49回:KDP Print の憶測
ヘリベ マルヲ のプロフィール写真書いた人:ヘリベ マルヲ
2017.
02.17Fri

KDP Print の憶測

大した続報がないので憶測によって自分で書くことにしました。PDFでダウンロードできる公式ガイドには「jpではまだご利用になれません」と明記されています。一方ヘルプは少しずつ整備しているらしく項目によってニュアンスが統一されていません。英、西、独、仏、伊、葡、蘭の7ヵ国語に対応するそうですが、これらの言語であれば自動的にPDFに変換できるかのようにも受け取れます。もし本当にそのような仕組みであれば日本語対応はかなり先になるでしょう。絶望的といってもいいかもしれません。にもかかわらず日本で販売可にしたのはなぜなのか、何か理由があるのかもしれません。テンプレートが用意されるとの記載もあります。これはおそらくCreateSpaceとおなじくWord用だと思います。

公式ガイドによればKDP Printは右綴じに対応するようです。バーコードの位置もちゃんと逆になるらしい。CreateSpaceでは不可能だったので大きな前進です。しかし右綴じが必要となる言語には現在非対応なのだから妙ではあります。ノンブルは中央でなくてもいいようで、むしろ左右配置を推奨しているかに見えます。うろおぼえですがインプレスのPODサービスでは中央にするよう求められたような。『悪魔とドライヴ』では中央にしましたがCreateSpaceからリジェクトはされませんでした。左右配置のほうが見栄えがいいよ、という程度の話かと思われます。なぜ『悪魔とドライヴ』で左右配置にしなかったかといえば、Hagoromoで二種類のPDFを生成した上に逆順かつふたつのPDFを互い違いにする、というのがおそろしく手間だったからです。

表紙の縁に余白が必要なのもCreateSpaceから進歩なし。BCCKSでは縁のピクセルを周囲に延ばすなどで自動的に補正してくれるため、文字や画像の配置に気を遣わずに済みます。この差はかなり厄介に感じます。透過画像が使えない点もCreateSpaceとおなじ。Kindle版の『悪魔とドライヴ』では場面転換に本のシルエット画像を使っています。シルエット周囲の余白が原因でリジェクトされ、やむなく記号に置き換えました。おなじ理由でKindle版で利用した扉画像も使えませんでした。それらの画像(Gif)の余白を透明にしたのは、リーダで背景をベージュにする場合を考慮したからです。自動変換が本当なら今後はなるべく画像を控える必要が生じます。フォントもまたCreateSpaceとおなじく埋め込みの必要ありとのこと。「KDP の『本棚』で本の横にある『プリント本の作成』をクリックするだけで、既存の Kindle 本を簡単にプリント本として出版できます」との記述とは矛盾するかに思えます。本当にそんなに簡単に変換できるのでしょうか。

とにかくPDF原稿がつくれなければ何もはじまりません。当レーベルでは作業効率を単純化するためにHagoromoを使っていますが、epubで目次をつくるにはいちいち展開して手を入れなければならないなど不具合がある(改善要望は一年前に出しました)上に、理想的なPDF原稿をつくるには今ひとつといったところ。BCCKSが版下PDFをダウンロードさせてくれたら、と思います。現状はオプション料金を支払っても透かしが入り、転用は許可されません。ちょっとくらい高額でもいいのでどうにかなりませんか。公式ガイドのOnline Previewerの画像はCreateSpaceからの流用のように見えるので、あるいは統合といっても一から新たに構築したわけではないのかも。だとするとあいかわらず前時代的なFlashベースで日本語対応は絶望的、ということにもなりかねません。やっぱり実際に使ってみないとなんともいえませんね。現物を知らないのでは憶測のレベルにすらならない。ついに右綴じに対応したらしいということ、KDPで印税を受け取れるため口座開設や小切手換金手数料が要らなくなること、の二点が現状では最大のニュースのようです。


ヘリベ マルヲ のプロフィール写真

ヘリベ マルヲ

(へりべ まるを、1975年6月18日 - )作家。略称、ヘリマル。独立系出版レーベル「人格OverDrive」から代表作『悪魔とドライヴ』をはじめとする魔術的な作品群を刊行。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにてウェブディレクター・佐々木大輔氏から「注目の『セルフパブリッシング狂』10人」に選ばれた。