悪魔とドライヴ

「Qは先生だよ。あたしをひとりにしないで」

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『悪魔とドライヴ』ヘリベマルヲ

悪魔とドライヴ

¥ 480
昼は教壇に立ち、夜は横丁のバーで接客の合間に小説を書く。そんな生活が続くはずだった。教え子に襲われるまでは——。3Dプリンタ製の銃と劇場テロ、ネット上で拡大する女子高生作家の噂、その正体を追う編集者、自己啓発セミナーとモンスター・ペアレント。思惑の交錯する文化祭で銃声が響く。Kindleストア「ロマンス」カテゴリ1位、異色の恋愛小説!(Kindle Unlimited 対象商品)
藤井太洋氏・十市社氏ら監修

27名の編集陣による徹底的なブラッシュアップ

口コミで支持された恋愛小説

Kindle「ロマンス」カテゴリNo.1(2016年9月)

鮮烈な読書体験

だれも読んだことのない物語

本文の一部を紹介

まずは試し読みから

「今終わったとこ」
「お疲れ。迎えに行く?」
 ディグバーガーの看板が見えた。窓際席にちありが所在なげに座っていた。哀しげで熱っぽい、潤んだ目で虚空を見つめていた。久太郎が本当に生徒に手を出すはずがないと、その瞬間まで自分がどこかで信じたがっていたことに絵梨子は気づいた。知ってはいても事実を見せつけられると動揺した。
 いや正しくは「手を出す」ではない。前後の見境なく我を忘れさせる。人間として駄目にする。
 久太郎はちありを女にしたのだ。
「Qにいて。飲まなきゃやってられない」絵梨子は電話を切って店に入った。ちありと向かい合う席にトートバッグを置いた。
「コーヒー買ってくるから。逃げないでよ」
「逃げるならこんなとこで待たないよ」
 絵梨子はマグカップを小さなトレーに乗せて戻ってきた。座席に腰を落ち着ける。「あんた停学中なのよ。謹慎してなきゃいけないの。深夜にあんな店で何やってたのよ。どうやって潜り込んだの」
「だから辻先生の本を宣伝してたのよ。関心持ちそうな客層だから。ソーシャルメディアで影響力あるひとも多いし。あそこの店員、目が悪いから身分証チェックがザルなの。電子書籍って意外にああいう店でフライヤー撒くと反応あるのよ。ほらこのQRコードで販売ページへ飛べる」
「そんなこと訊いてない。自分の状況をわきまえて。お父さんが偉いひとだからって世のなか甘く見てるんでしょう。これがバレたら退学よ。辻君だって職を失うかも。あなたたちの関係にまわりの大人が気づかないなんて思わないで」
 ちありは視線を落として答えなかった。
「あなたは彼を破滅させようとしてるのよ」絵梨子はいった。「本人はそれでもいいと思ってる。まわりが止めてあげなきゃ。そういう男なのよ。好きなんでしょう。どうしてわかろうとしないの」
「辻先生にはいわないで」
「は?」
「知られたくない。書くのに集中してほしい」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「あたしたちの関係の何がわかるのよ」ちありは叫んだ。「体だけじゃない。そんなのどうだっていいのに!」突っ伏して啜り泣きはじめた。
「ちょ……ちょっと」絵梨子は腰を浮かせて店内を見回した。同業者や保護者らしき客はいなかった。
 雨脚が強まった。行き交う酔客が足早になり、若い女の嬌声が聞こえた。唐突に夫への不信感が沸いた。職場で両者を知っていてなおかつ平然としている。絵梨子は自分だけが除け者にされた気がした。成長した体のせいで疎外された子ども時代のように。
 日常は目の前の闖入者に壊され二度と戻らない。八つ当たりだとわかってはいた。それでも打ちのめされた惨めな気持はどうにもならなかった。

(「5 身体と歌だけの関係」より抜粋)
でもときには、背が反るぐらいに腕を引き、そのまま腰の回転を使って繰り出されるストレートに頭をぶち抜かれてみたいとも感じる。(中略)本作はそれくらいパンチ力のある作品だ。

倉下忠憲さん

本の総合情報サイト「Honkure」管理人、作家
久太郎、コンタクトになったあたりからめっちゃかっこいいです! そして、ちょっと壊れた感じのちあり、こういうキャラ好きです。 ちありが赤ボールペン大切にしてるところにめっちゃ萌えました。

くみた柑さん

作家、イラストレータ
だって県立高校の女性生徒と国語の先生で、しかも結構匂い、それも夏で高校生の体臭がするなんて描写がすでにしっかり生臭いわけですよ。しかもその国語の教師はウイスキーとジャズとタバコと文庫本が好きと来てる。ああああ、これは危ないなあ。

米田淳一さん

作家
冴えない高校教師と彼を狂信的に慕う女子生徒。背後に蠢くカルト集団とテロ事件。(略)どこを切ってもヘリベマルヲの血しか流れ出してこない。(略)テンポの良い文章。クールな会話。過剰なまでのバイオレンス。そんななか少女は病んでいるのかもしれないけれど、あるいは病んでいるゆえに恋人たる担当教師に激情をぶつける。最初に押し倒したのはどちらなのか……。

椋 康雄さん

作家
「凄まじい」と言ってもいいかもしれない。(中略)頂いた原稿を読み終えて息を吐いてふと気がつくと、手元にスコッチのグラスと山になった吸い殻を発見した。

丸木戸サキさん

作家
世間を巻き込んだ美少女作家Qのセンセーションは、思わぬ形で続いていく事になる。ちありがその後どうなったのか。それを想像するのも読者の楽しみだろう。

月狂四郎さん

作家
幼馴染であるヒロインを子どもの頃のように思いながら、次第に思春期の残酷さを覚えていく将大の投げやりさがよかったです。

tonaさん

読書家、学生
小さな人間関係が、物語が進んでいくとともに肥大化し、奥行きを与えていく様は圧巻。彼らの未来はどうなるのだろうか。救われているようで救われていない囚われた物語。

萠木恵依@青蛙堂さん

作家
中盤以降、謎の作家「Q」が社会現象となり、また千里が動き出したあたりからはページをめくる指が止まらなかった。(略)「そうそう、こういうのが読みたいんすわ」と叫びたくなる展開。(略)ラストも良かった。あれ以上は思いつかない。後半はあっという間に読み終えてしまいました。

新潟文楽工房 ヤマダマコトさん

作家

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ヘリベマルヲ

著者
(へりべ まるを、1975年6月18日 - )作家。略称、ヘリマル。インディ出版レーベル「人格OverDrive」から『Pの刺激』をはじめとする数々の異色作を刊行。作風は魔術的とも「文章に血が染み込んでいるようなリアリティがある」とも評される。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにてウェブディレクター・佐々木大輔氏から「注目の『セルフパブリッシング狂』10人」に選ばれた。著書はほかに短編集『エゴノキ ヘリベマルヲの世界』、最新作『悪魔とドライヴ』など。
ヘリベマルヲ

刊行準備委員会

執筆協力・編集・プロモーション
赤井五郎 池田達宣 王木亡一朗 折羽ル子 如月恭介 くみた 柑 後藤啓之 佐々木大輔 佐藤和彦 澤 俊之 隙間社 月狂四郎 十市 社 夏居 暑 波野發作 根木 珠 初瀬明生 藤井太洋 藤崎ほつま 升田力夫 松島 智 幻夜軌跡 丸木戸サキ 椋 康雄 山田佳江 米田淳一 和良拓馬(アイウエオ順、敬称略)
扉・アイコン制作
いーブックデザイン
出版をおもしろくする取り組み

「刊行準備委員会」とは?

前向きなサイクル

家に帰ってメンバーを確認し、再び腰を抜かした。(中略)みんなで作品を読みあい、指摘や感想をわいわいポストしながら、最終的にはヘリベ氏が書き直し、再びEpubデータをアップロードする。(中略)メンバーには校正をお仕事にされている方やイラスト/表紙作成が得意な方もおり、それぞれの立場から作品をブラッシュアップしていた。各々が自らの得意分野から提言し、作品に反映させる。前向きなサイクルがそこには回っていた。

馴れ合いではない

この集いは決して馴れ合いの場ではありません。(中略)まあ名だたる人ばかりでびっくりしました。そんな中自分がいていいのかって思うくらいに。
前にTwitterでも呟きましたが、他人の意見や批評はヤスリのようなもので、作品の完成度を高めるのに必須のものです。(中略)この委員会に集まった人は、そんな労力を惜しまずいろんな意見を言い、この作品をブラッシュアップしました。

奇妙な光景でした

皆どこまで言って良いのか迷ったのではないかと思います。だってですよ、自分がその立場だったら自分の作品に対してあれこれ言われたら嫌になりますし、(中略)ですがそれに関わった方々は様々な意見を伝え、そして著者はそれを受け止め直接的であったり間接的であったりはすれど、作品に反映させていきました。それはとても奇妙な光景でした。自分が知る創作の光景とは全く別のものなのです。

「編集者」の持つ機能

この作品は「委員会」方式によって執筆されています。
初稿を読んだ有志による助言を、ヘリベさん自身が咀嚼して作品へ反映させるという行程を踏んでいるのですね。(中略)商業出版と比較してインディに欠けているのは優秀な「編集者」の持つ「客観的なブラッシュアップ」という機能であり、それを補うために有志を集め議論を行うという方法。(中略)今回の「実験」は、インディ界においてのメルクマールとなるでしょう。


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『悪魔とドライヴ』ヘリベマルヲ

悪魔とドライヴ

¥ 480
昼は教壇に立ち、夜は横丁のバーで接客の合間に小説を書く。そんな生活が続くはずだった。教え子に襲われるまでは——。3Dプリンタ製の銃と劇場テロ、ネット上で拡大する女子高生作家の噂、その正体を追う編集者、自己啓発セミナーとモンスター・ペアレント。思惑の交錯する文化祭で銃声が響く。Kindleストア「ロマンス」カテゴリ1位、異色の恋愛小説!(Kindle Unlimited 対象商品)
聞き手・構成:隙間社

刊行記念インタビュー

――公式サイト人格OverDriveやAmazonの販売ページでは恋愛小説であることが強調されていますが……。

 実際の内容にそぐわないという意見もあるかもしれません。村上春樹さんが『ノルウェイの森』を書かれたときに、ほんとうは「100パーセントのリアリズム小説」と謳いたかったけれど「100パーセントの恋愛小説」とした、との逸話があります。それを意識しました。
 恋愛ものでよくある物語の構造が好きなんです。男と女が出会っていろいろあって、こじれて別れる。再会したときには何かが変わっている。その様式をこれまでの作品では、さまざまに歪めて応用してきたのですが、いちど直球勝負でやってみたかったんです。新たな読者層を開拓したかった。

――この作品を書き始めたきっかけがあれば教えて下さい。

 映画『恋に至る病』『ヒミズ』の冒頭。

――スージー・クアトロの同名曲を書名に選んだ理由は? 十字路の悪魔的な意味合いもあるのでしょうか。

 ベスト盤を愛聴していた16のときに決めた題名です。

――海外文学の影響を感じました。影響を受けた作家を国外国内でそれぞれ3名づつ挙げてください。

 この小説に影響を及ぼした作家を挙げます。国外:レイモンド・チャンドラー、ジョン・アーヴィング、スティーヴ・エリクソン。国内:桜庭一樹、姫野カオルコ、開高健。またこの本は小説よりも少女漫画に大きな影響を受けています。

――出版社を通さずに出版する理由は? インディは出版の未来なのでしょうか。

 そうともいえません。確かに従来の出版方法は苦境に立たされています。しかし現状セルフパブリッシングは趣味の社交場でしかない。第三の道を模索しています。それがなんであるかはまだわかりません。

――刊行準備委員会についてお聞きします。どれくらいの人数で、どういった活動をしていたのでしょうか。

 なるべく多くの方に仲間に加わっていただきたかったのですが、連絡がつかなかった方や参加を断られた方もいて、現時点では27名です。本の品質を高め、広く売ることをめざしています。企業(出版社)が担っていた機能の代替手段を確立したい。今回協力していただいたみなさんには、その理念を支持していただいたと考えています。『悪魔とドライヴ』はきっかけにすぎません。この運動が広がることを望みます。

――制作委員会の方々はどの段階から作品に関与したのでしょうか。また、本の品質を高める、とのことですが制作委員会は作品にどのような影響を与えたと思いますか。

 今回は初めての試みなので、初稿を書き上げてから声をかけました。アカウントをお持ちの方にはFacebookグループで、お持ちでない方にはメールで議論に参加していただきました。作品によっては企画段階から仲間を集めるのも有効だと思います。
 驚かされたのはみなさんの指摘の正確さです。それぞれ異なるかに思える意見も、俯瞰して考えるとすべて同一の指摘でした。改善方法の優れた提案にも助けられました。おかげで文章やプロット(物語の骨組み)の欠陥を修正できました。読みやすく無駄のない作品に仕上がったと思います。

――作品に口を出されることを嫌がる方も多いと思うのですが、抵抗や不安はなかったのでしょうか。

 多くの意見が得られるほど原稿はよくなります。手段があるのに躊躇する理由があるでしょうか。

――今後同じ手法で出版する著者にアドバイスはありますか。

 信じているものを実現するため、主体的に行動しましょう。目的にかなう師を選びましょう。理屈より情熱を大切にしましょう。自分がどうなりたいか具体的にイメージし、近づく努力をしましょう。

――本日はお忙しい中ありがとうございました。(2016年2月、某所にて)

『悪魔とドライヴ』ヘリベマルヲ

悪魔とドライヴ

ヘリベマルヲ著

¥ 480
昼は教壇に立ち、夜は横丁のバーで接客の合間に小説を書く。そんな生活が続くはずだった。教え子に襲われるまでは——。3Dプリンタ製の銃と劇場テロ、ネット上で拡大する女子高生作家の噂、その正体を追う編集者、自己啓発セミナーとモンスター・ペアレント。思惑の交錯する文化祭で銃声が響く。Kindleストア「ロマンス」カテゴリ1位、異色の恋愛小説!

作中に登場する楽曲


白波多カミン「ハロースター」
EGO-WRAPPIN'「太陽哀歌」
きのこ帝国「怪獣の腕のなか」
さねよしいさ子「風や空のことばかり」
早川義夫「身体と歌だけの関係」
Love Tambourines「Midnight Parade」
佐野元春「スーパー・ナチュラル・ウーマン」
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